人生オワ太郎のいろいろある部屋

人生が終わってない高校生のブログです。ハーメルンや小説家になろうで(クソみたいな)小説書いてますのでそちらもよろしくなのです。

第24話「諸島侵攻③」

2030年2月8日02時04分
ルカニア諸島 コロニア島

「うむ・・・あの建物で間違いない。全員構え」

木草の影の中、第1空挺団所属の小隊長、進藤2尉は射撃の構えを崩していなかった。
第1空挺団は空挺投下によって司令部のあるこの建物のすぐ近くまで迫っていた。
辺りは味方の侵攻の対応に追われているからか、緊迫した雰囲気が漂っている。
その雰囲気は、すぐに爆発することだろう。

『全隊、配置につきました』

無線から配置完了の合図が来る。
黒塗り、5階建ての建物には20m以上はあるアンテナが備えられており、下命を島内の全部隊に行うことができた。
最も、先ほどからの電波妨害によって使い物にはならなくなっているが。
入り口まではおよそ60m、辺りには10数名の敵兵、こちらは30名の1個小隊だ。
まず最初に入り口近くにいる敵3名を分隊狙撃手が狙う。
準備は完ぺきだった。

「・・・撃て」

2尉が下した命令は単純だった。射撃手が攻撃を開始する
発射された弾丸はその兵士たちを天へと召されさせた。

「よし・・・突入突入!」
「援護射撃だ、撃ちまくれ!」

射撃が成功したのを確認するとすぐに1個分隊が突入を開始する
その分隊を援護するために残りの隊員たちが敵への牽引を行う。
後方の地が、一気に最前線へと様変わりだ。

「敵襲、敵襲!」
「攻撃を受けている、散開散か・・・うぐぁ!」
『こちらヘッダー02、侵入完了、これより詮索を開始する』

奇襲によるすきを突き、突入班が建物までへばりついた。
段取り通りだ、分隊が建物の入り口を踏み倒す。

「こちらヘッダー01、炎は立ち上った。直ちに援護を要請す、送れ!」
「ジュピターよりヘッダーへ、了解した、直ちに移動する。ETAは2分後」

もう隠れている必要はない。後方に待機していたAH-64に援護を要請する。
固定式の対空砲は特戦群の破壊工作でただの鉄の塊と化しており、航空機の展開は容易だ。
ヘリが到着すればもう勝ったも同然だ。

「200m前方に戦車です!」

戦車の接近を知らせる声がとどろいた。
90㎜砲と傾斜装甲を備えたそれは、さながらナチスドイツのパンター戦車を連想させた。
砲塔は少しずつこちらを向き始めている。チハのような紙装甲だったのならば、側面や背面からライフル弾を大量に食らわせればダメージを与えられる可能性があるのだが、それはごく一部のまれな例だ。小銃で対抗することはとてもできない。
こんな時は、カール君の出番だ。射手にカールグスタフを使用するよう知らせる。
敵の戦車はすでに停車し、こちらに目を向けている。猶予は残されていない。
茂みの中からカールクフダスをそれに合わせる。
敵戦車の正面は80㎜の傾斜装甲が施されており、安定した防御力を提供していた。
だがそれは何世代前の基準だろうか。

「後方よし・・・てぇ!」

84㎜無反動砲から発射されたHEATは、直進軌道を描きながら煙をまき散らした。
そのまま飛翔した弾頭は戦車に直撃。
自慢の装甲をいともたやすく破られ、車体は炎と煙に包まれた。
1両はやった、後は・・・

「隊長!どんどん集まってきますよ!」

隊員の1人が声を荒げる。
1両2両どころではない。装甲車や兵員輸送車も合わせると20両近くの車両が集まっている。
流石にこれはまずい。

「こちらヘッダー01、目標を捕捉した。地獄の業火が舞い降りるぞ」

ヘリ部隊からの通信が無線を割り込んだ。
どうやら攻撃を開始するようだ。丁度いいタイミングだった。

「姿勢を低くしろ!それと・・・ヘッダー、建物には当てるなよ!」
「わかっている・・・GOヘルファイヤ!」

閃光が、空を覆った。自身の視界の範囲外からミサイルがくる。
計6発の槍が、地上を赤に染めた。
戦車に直撃したミサイルは、轟音とともに爆破。
成形炸薬弾はそのまま戦車をスクラップにした。
再び大爆発が起きた。ロケット弾による掃討だ。
十数発の攻撃をうけた地上はもはや地獄だ。

「うへぇー、結構きますねこれは・・・」
「そういうものだ・・・これより掃討戦に移行、B班はA班の援護に回れ、
建物内部の制圧を急ぐぞ」

そういうと、それぞれがやるべき任務に向けて動き出した。
すでに上陸を済ませた水陸機動団が行動を起こしている。
揚陸された10式、96式をはじめとした戦闘車両や普通科の隊員のほかにもOH-1、AH-1などの回転翼機やF-3、F-35などの固定翼機もともに前進していた。
島が完全に包囲している以上、敵は徹底抗戦か降伏かの道しか残されていない。
可及的速やかに占領を行いたい政府や市ヶ谷の意向を反映させるためには、
指揮官から降伏宣言を行わせるのが手っ取り早い。
そうすれば大多数が降伏の道を選ぶはずだ。
先行して突入した分隊の援護に何人か回すと、彼は周辺の掃討へと身を投じた。


2030年2月8日08時35分
東京都千代田区 首相官邸

日本標準時と作戦が行われてる地域の時差は4時間、首都圏ではすでに通勤ラッシュの
終わりを見せていた。東京は転移直後から経済規模の縮小をせざる負えなかったものの、
歳月とともに再拡大の様子を見せていた。
その東京にある、総理官邸には今回の諸島侵攻の各隊の配置、現地の状況などが
前方のいくつものスクリーンに表示されており、通信機器も最新鋭の物がそろっている。

普通科及び航空科の部隊が島内の掃討にあたっています。現在のところ異常はありません。
並行して施設科部隊が航空基地修復と改装の準備を行っています」
「そうか・・・戦闘も今日中には終わりそうだな、ご苦労であった」

深夜3時ごろからずっとここに居座り続けた岸川総理は、瀬川防衛大臣からの報告を聞くと
岸川総理は椅子に深く腰掛けた。
陸海合同の大規模侵攻として計画されているこの作戦。
化学兵器が保管されているなどの懸念事項があったものの、サンプルの回収にも成功。
上陸もほぼ想定通りに行え、大成功といっても過言ではなかった。

「とりあえず、作戦は成功ですな」
「ああ、これで何とか侵攻の目途が立った。予定通りなら数日後には侵攻の手筈がすむ」

戦闘は大部分が完了している。
第1空挺団が敵司令部まで侵攻を行った。
戦闘ヘリコプターまで投入した結果、司令部を降伏、機能停止まで追いやった。
その後、司令官付けでの武装解除及び降伏宣言が出され、大部分の部隊を降伏に追いやったのだ。
一部部隊はゲリラと化したものの、それもすでに敗走を開始していた。
懸念事項は完全に払しょくされたのだ。

「とりあえず、あとは任せても大丈夫そうだな・・・少し寝るか。
今回の侵攻は午後の国会で発表しよう」
「では終了後、詳細の方を防衛省から説明を行います。
首都強襲に関する言質はどうしますか?」

軍事作戦とは通常は内密にされてなければならない。
戦いの原則において、奇襲性を確保していればいるほど、効果的な計画が立てられるからだ。
しかし一般世間に向けて公開することは国民への情報透明性のアピールや宣伝材料、
国外には自国の国力を示すことができるなどのメリットもある。
首都進攻という重要性などを天秤にかけ、どの程度公開するのかは重要だった。

「そうだな・・・詳細は控えるとしても、それを行うという事は
言っといたほうがいいだろう。そちらで内容を詰めてくれ」
「了解しました。ではその方向で」

大臣へそう伝えると、仮眠を取るために岸川は部屋を出た。
日本はこの戦闘に勝利したのだ。

 

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