人生オワ太郎のいろいろある部屋

人生が終わってない高校生のブログです。ハーメルンや小説家になろうで(クソみたいな)小説書いてますのでそちらもよろしくなのです。

第25話

軍参謀委員会のメンバーはまさに、憂鬱な気分に襲われていた。
セルニカス諸島の陥落。
一連の事態を受けた 軍参謀委員会が、つい先ほど出した結論だった。
ことの発端は数時間前、何者かに攻撃を受けているとの一報が入ったことだった。
あの島は前線の位置から遠く離れた絶海の孤島であり、距離の関係上ここが襲撃されるとは考えられていなかった。
襲撃を受けたという第一報が入ったとき、上層部は誤報か何かだと思っていたら。
しかし、直後から通信が全くつながらなくなり、ホワイトノイズしか聞こえなくなってしまったのだ。こちらからの呼びかけにも全く応じなかったものの、そこから7時間後に復旧した。
委員会のメンバーは始め、大きく喜んだ。すでに強襲を受けたものと結論付け、大統領へ報告をあげる直前だったのだ。
もし、あの島が陥落したということが報告していたら。
軍事方面はほとんど素人なものの、あそこの重要性は如何に感情によって動く国家最高意思決定者といえども理解していた。陥落したということを報告すればそれを許した軍関係者は粛清されていただろうし、またそれが嘘だということを知ればそれを伝令したものもまた同じ道をたどるだろう。
しかし、その喜びは次の言葉で消し飛ぶこととなった。

「通信に出たのは・・・ニホン人とのことです」

通信に応じたのはニホン人だった。これが意味することは一つ。
セルニカス諸島が陥落したのだ。
彼らによると、この島にいるものは死んだか、降伏したかのどちらかしか残っていない。お前らも首を洗って待っていろ、と。
これを聞いたとき、通信士は青ざめ、司令官は卒倒したという。

「自分たちが思っていたよりも、遙かにまずい状況だ・・・」

敵には余裕で勝てると信じていた。だが現実はどうだろうか。初期こそ圧倒できたものの、日本国の介入により戦局は悪化し始めた。それは今回の攻撃で明白なものとなった。
この攻撃によって陥落したセルニカス諸島。この位置からならばここ、首都リビアナを攻撃されることも想定される。

「上層部への報告は・・・ほとんど手を加えられずに上がるよな・・・」

いままではどのような凶報でも上へ報告されるごとにソフトな言い回しになっていたものの、
今回ばかりはそうもいかないだろう。
この国が危機に直面していることを、彼らはようやく理解し始めたのだった。

 

 

この基地にもだいぶ日本人が多くなっている。基地内を歩んでいるメイドリフ大尉は
そう実感していた。
日本の参戦以来、戦況は様変わりした。
圧倒的な能力を誇る戦車、機動力を生かした戦術、練度の違い・・・
この戦争は、日本の参戦によって勝利を得えられると誰もが確信していた。
だがそれと同時に、あることが起きた。
サーバ連合各国の軍隊の出番が減っていったのだ。日本が前面に出ると、連合は後方支援に従事するようになっていった。
平たくいえば、日本にとって彼らは足手まといなのだ。もはやそれは変えられない事実だろう。
装備や戦闘ドクトリンなど、あらゆるものが違いすぎた。自分らは時代遅れということだ。最近、日本の技術や技量を吸収する動きもあるものの、同水準になるには数年、数十年の歳月がかかるといわれている。
どうあがいても今回の事態には間に合わない。
連合各国が敗退を続ける今、日本頼みの状態に陥るしかなかった。
何とも言い難い状況だった。自分らを自分で守れなかったのは屈辱だが、そうしなければ連合各国は滅んでただろうし、過密的だった仕事が減ったことに喜ぶものも少なくない。
自分だって家族と過ごす時間を作ることができた。生を実感することができた。
少なくとも日本の恩恵を受けているのは事実だ。
装甲考えているうちに、基地入り口の守衛所まで到着した。
数枚の書類を守衛に渡す。もうここに用はない。彼は自分の持ち場である事務室へと歩みを始めた。
少し遠回りでもするか。そう思ったメイドリフは日本軍が使用している兵舎や格納庫といったものを間近で見れるルートを進んでいった。
基地は日本の陸空軍が使用しているエリアが存在していた。日本軍と他国の軍隊との交流は活発で、最近は特にヘリコプターの行き来が多い。
近いうちに首都を攻撃するだとささやかれていた。
日本の力を見た今では、あらかた嘘ではないだろう。そう感じざるを得なかった。
ふと、横に視線を移すと、彼が憧れすらしていた1つの機械の塊が事を構えていた。間違いない、ヘリコプターだ。5、60メートルは離れているが、AH-1サムライという機体の機種までわかる。
十数メートルの距離まで近づいた。
今まで本や上空を飛ぶものを見たことはあったものの、間近で見るのは初めてだ。
機体の下部にはガトリングが装備され、左右にはロケットと、ミサイルと呼ばれるハイテク兵器が備えられている。そしてテールローター
プロペラは上部を向いている。これこそ、普通の航空機との決定的な違いだ。
机上の空論でしかなかった兵器がそこにはあった。

「改めてみるとすごいな・・・これはなんて奴だったかな」

彼は過去に見た書物の中からどのような機体だったかを思い出そうとした。
そう、これはたしか・・・

「AH-1サムライ、2023年に正式採用、老朽化し始めたコブラの代行としてOH-1を元に開発、ニンジャ譲りの機動とアパッチにも負けない武装と火器管制能力を持つ・・・」

そう、まさにそれだ。メイドリフは自分が求めていた答えが出たことに満足した。
だがその直後、新たな疑問がわいた。これを言ったのは誰だ?

「突然すいません。自分の愛機に興味を持っていたようなので」

後ろを振り向くと、30代前半ごろの女性が立っていた。
日本が使っている迷彩服を身にまとい、
ヘリの乗組員なのか、右手にはフライトヘルメットを抱えている。

「あ・・・これは失礼しました、お邪魔してしまいましたか」
「いえいえとんでもありませんよ。自分も初めて見た時にはそんな感じでしたよ」

よく見ると、迷彩服は一般の隊員が来ているものではなく、ヘリパイロット用の迷彩服を着ていた。さっきも自分の愛機と言っていたし、あのヘリコプターのパイロットなのだろう。

「あ・・・見た感じわかると思うんですけど、あのヘリコプターの操縦士をしています」

まじまじと見つめる視線に気づいたからか、彼女は彼の問いの答えを出した。
やはり予想通りだったか。メイドリフは自分の予測が当たったことに満足した一方で、操縦士が女だったことに若干ながら驚いていた。

「なるほど、しかし女性のパイロットですか・・・わが国では社会進出があまり進んでませんから。。。」
「女兵士は珍しいですか?」

珍しくない、と否定するつもりは彼にはなかった。
彼の国でも女性の社会進出に向けての動きはあるものの、軍人となると、精々後方勤続の軍医だとか、その程度だ。

「まあ、パイロットに限らず軍隊なんて男社会ですよ、少なくとも我が国に女性パイロットは居なかったと思います」
「そうですか・・・まあ、日本も昔はそうでしたよ、時代はいろいろと変えてしまいますからねぇ」

そうはいっても女性の戦闘ヘリパイロットはまだ歴史が浅いですけどね、そう言いながらも彼女の目線はヘリコプターを見つめたままだった。よほど乗り物への思い入れが強いのだろうか。

「子供の頃に自衛隊・・・当時はまだ軍じゃなかったんですけど、その時に駐屯地を見る機会があって、その時にヘリの編隊飛行を見たんです」

ヘリコプターの編隊を見たことはメイドリフもあった。
たしかにいいものだ、と彼は感じていた。当然ながら、レシプロ機ではホバリングを行うことはできないため、ヘリコプターを見たこと無い彼らにとっては斬新な光景だったのだ。

「その時にヘリコプターに一目ぼれしてしまいまして、当時はまだ8歳ぐらいでしたけど、その時から航空関係の職業に就くと決めていたんです」

懐かしさに浸る彼女は、若干ながら幸せそうな顔をしていた。

「・・・っと、もうすぐ集合の時間だ」

そろそろこの辺で、と言い残した彼女は、日本が所有する兵舎へと戻っていった。
自分もそろそろ戻ったほうがいいかな。
メイドリフは彼女の名前を聞くのを忘れたのを僅かに悔やみながらも歩みを始めた。

 

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更新が遅くて申し訳ありません。
実をいうと、この作品はただの思い付きから始まったもので、ろくにプロットも仕上げないまま投稿した上にその後もあんまりいいネタが思いつかない状態で今日まで至っております。
もしかすると更新停止、失踪する可能性があります。本当に申し訳ございません。
最低でも2帝国が崩壊させるところまでは書きます。